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アンドロメダを見上げる頃に
2000.10.7制作
使用ソフト:Adobe Illustrator 9.0J

§ 2000.10.7〜2000.12.31の扉絵 §
トビラエストーリー#1
アンドロメダを見上げる頃に
 *
不意に、オルゴールが鳴り始めました。
曲は《主よ、人の望みの喜びよ》。
午後六時の合図です。

学校の帰り、いつものようにみんなで立ち寄った図書館。
司書のドロシーがすんだ声で、
《メリーポピンズ》の続きを朗読してくれます。
それから、《ピーナッツ》を観たり、《ビートルズ》を聴いたり、
時間の過ぎるのなんて、本当に、ここではあっという間なのです。

オルゴールにはっと顔を上げたケイスケは、ふと窓を見やりました。
どの窓も一様にうっすらとくもり、外はもうだいぶ寒そうです。
南の窓に駆け寄ってくもりを拭うと、空はとうに真っ暗でした。
「わあ。星がよく見える」
いつの間にか仲良しのミシェルが隣で、窓の外を眺めて言いました。
「あ。ほら、射手座」「どこ?」
ケイスケがミシェルの指さす方に目をこらすと、
たしかに、かすかな光がいくつかならんでいるのが見えました。
ぜんたい、ミシェルは星のことにかぎらず、たいそう物知りです。
「あのね、ケイスケ」そのミシェルが言いました。
「アンドロメダが頭のてっぺんに見える頃、
 パパがクリスマスのプレゼントを持って帰ってくるの」
うん、とケイスケが相づちを打つと、ミシェルは何故かもじもじして、
「そしたら、ね。ケイスケ、わたしのうちに遊びに来てくれる?」
うん、とうなづきながら、ケイスケはちょっと不思議に思いました。
だって、ミシェルのうちにはもう何度も遊びに行っているのに、
何でまた、今日はそんなに恥ずかしそうに言うんだろう。
「きっとよ。ニホンのクリスマスの歌もおしえてね」
「うん。教えるよ」「きっとね」「うん」ミシェルは再三念を押すと、
少し赤くなってドロシーの所へ走っていってしまいました。
ケイスケはもう一度窓の外に目を向けると、
カバンを背負いながらつぶやきました。
「──やっぱり、おんなのこってわかんないや」

射手座のうえを、流れ星が駈けていきます──
 *